ラテン料理でメジャーなものってなあに?その3 タコス
メキシコ料理で有名なタコスを食べたことのある人は多いのではないでしょうか。
そんなのないよ、とおっしゃる方も、スナック菓子のトルティーヤチップスならどうでしょう?
それならよくスーパーで売っていますよね。
そのトルティーヤこそ、タコスの皮の部分なのです。
トルティーヤ(tortilla)とは、スペインにおいてはじゃがいもなどの入ったオムレツのことですが、メキシコにおいては生や粉のとうもろこしから作られる平たく薄いパンのことで、日本ではご飯に相当するメキシコの主食です。
トルティーヤはスペイン侵攻以前からマヤ、アステカなどの文化圏で主食とされていて、
これをアステカ時代のナワトル語では、トラスカルリ(tlaxcalli)と呼ばれていました。
スペイン人が初めてそれを見た時、語感と形状からトルティーヤと命名し、今もそれが使われているそうです。
このトルティーヤに使われるとうもろこしは、日本で一般的に売られているスイートコーンではなく、大粒で白く甘みのない硬粒種と呼ばれるもので、生を潰したものや、粉のものを(粉は水を加えて)練ってもぱさぱさになり、トルティーヤにすることはできません。
それは何故かといえば、とうもろこしには、小麦のようなグルテンが含まれていないからです。
では、どうやって粘り気を出すのかというと、石灰を使うのです。
生の状態のものなら、石灰を加えた水で茹でて冷まし、一晩置いたものをニスタマル(nixtamal)と言うのですが、これをメキシコでは石のひきうすですり潰します。
すると、小麦粉に水を加えて練ったような状態になるのです。
それを丸めて平たく伸ばし、焼いたものがトルティーヤです。
ちなみに現在のトルティーヤには、とうもろこしで作られたコーントルティーヤと、小麦粉で作られたフラワートルティーヤとがあり、フラワートルティーヤはコーントルティーヤに比べて白く柔らかいといった違いがあります。
さて、このトルティーヤに具を挟んだものがタコスと呼ばれるものなのですが、日本でよく知られているタコスは、いわゆるタコスシェルと言う、トルティーヤをUの形状に成形したものに、ひき肉を炒めたものやトマトなどの具を挟んだもので、厳密にはメキシコ料理ではなく、アメリカ(北米)料理なのです。
これは、日本ではメキシコ料理として知られるチリ・コン・カンも同様なのですが、テキサス生まれのメキシコ系アメリカ料理のことをテックスメックス(Tex-Mex)と言い、テキサス(Texas)+メキシコ(Mexico)を縮めた名称です。
長々とトルティーヤとタコスについて説明してきましたが、このトルティーヤを使った料理はタコスばかりではなく、その成型状や調理の違いから、
エンチラーダス、エンフリホーダス、ケサディージャス、ワラチェ、フラウタ、チラキレスなどなどの、
ここには書ききれないほどのたくさんのバリエーションがあります。
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では、次回のラテン料理でメジャーなものってなあに?4で
お会いしましょう!