ラテン料理でメジャーなものってなあに?1
エンパナーダとサルテーニャ
左の画像はエンパナーダ、右はサルテーニャ。
何が違うの?
ラテン料理でメジャーなものと言えば、何と言ってもエンパナーダです。
エンパナーダとは、具入りのパンまたはペストリーのことで、パンで覆う・包むという意味のスペイン語の動詞「empanar エンパナール」から派生しています。
その起源は、756年から1031年までイベリア半島(ヨーロッパ西端の半島で、スペインとポルトガルがある)を支配した、イスラム王朝のウマイヤ朝時代に、スペインとポルトガルに普及した塩味のペストリーにあるとされるという説があり、スペインでは通常は大きく丸い形(丸いパイのホール状のもの)ですが、北西部のガリシアでは、それに加えて、一口大のものから、菓子パン大までの大きさのものがあります。
タイトル下2つの画像のような半円形は、ポルトガルや南米に見られるもので、地方名が付いたり、名前が変わったりしますが、それによって具や皮のレシピに変化があります。
その中でも、国民食と言っても過言ではないほど愛されている、南米はボリビアのサルテーニャに今回はスポットを当ててみたいと思います。
その前に、ボリビアについて簡単に説明しますと、正式には「ボリビア多民族国」という名称で、地図にあるように、南米の真ん中あたりにある国です。
かつては海に続く地方があったのですが、チリとの戦争でそれを失い、内陸国となりました。
さて、サルテーニャとは、「サルタの、またはサルタの女性」の意なのですが、サルタはアルゼンチンの北西部にある州で、ボリビアの地名ではありません。
ではなぜ、ボリビアで愛されている食べ物の名前がサルテーニャと呼ばれているのでしょうか。
それは1900年代初頭のこと、アルゼンチンの女性作家で、サルタ州出身のフアナ・マヌエラ・ゴリーティが、当時の独裁政権から逃れて移り住んだタリハ(ボリビア最南県で、サルタに隣接している)において、スペインから伝来した総菜パン、エンパナーダをまねて作り売り出したところ、大変人気となり、彼女の作ったものがサルテーニャと呼ばれるようになったそうです。
このサルテーニャも、作る人や地方によって多少の変化はありますが、皮は小麦粉と油脂類(バターやマーガリン、ラードなどのバリエーションがある)、塩、砂糖に、卵黄を入れますが、それに加えてアチョーテという天然色素を使うので、ターメリックのような黄色い皮となります。
具は、じゃがいも、たまねぎ、オリーブ、レーズン、ゆで卵に肉類が入るのがベースですが、なぜか牛肉だけのものより、牛肉プラス鶏肉のものの方が少し高いのです。
そして特筆すべきは、小籠包のように汁気が多く、焼き立てにそのままかぶりつくと、スープが溢れ出して舌をやけどしてしまうので要注意!というところです。
これはボリビアのサルテーニャだけで、他国のエンパナーダにはないことです。
カーニバルで楽団の音楽に合わせて踊るボリビアの女性たち。
ボリビアのソウルフード、サルテーニャについて、お分かりいただけたかと思います。
では、次回、ラテン料理でメジャーなものってなあに?2でお会いしましょう!!