カテゴリー: 立体

  • 施美時間 12日目。

    施美時間 12日目。

    「赤展」も、残すところあと2日となりました。

    明日から最後の2日!

    3回目となる今展は、いつになく時の流れが早く感じます。

    今日も そんな時間軸の中、ゆったりとした気持ちになれる浄心院へ。

    歴史ある浄心院の壁を飾ったのは、長野 剛。

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    「HEXAGONAL」

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    赤を含む正確な正方形には、いずれも和な色合いが壁に納まります。

    この場所に展示できたことに、とても感激してくださいました。

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    一見 一色に見えますが、近くで見ると実に細かい幾何学な線が筆入れされた油彩。

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    また、講堂の入口にも同じシリーズを設置。

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    この作品を展示した横の壁をご覧あれ。

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    酷似!ここまできたら必然ではないでしょうか。

    そして、浄心院の門に華を添えるのは 中井佳代子。

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    「Flower」

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    モザイクによって作り込まれています。

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    中井さんは、”今しかない儚さと無力とを恐れつつ、

    生きているという根源的な喜びの中で制作しています”と語ります。

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    旧宝物館にも同じシリーズを展示。

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    人の世に悲惨と悲しみは常にある

    人は混沌の中で 心を痛めつつ 右往左往している

    自ら大きな悲惨の中に入り 力を尽くす人もいるが それは私ではない

    人間のできることは限られているからこそ 人は祈る

    私は 苦しむ人が苦しみから逃れられることを

    せめて一夜でも心安らかな眠りにつけることを祈る

    (それはまた 私を許してと祈ること)

    そして 私のできることをする

    中井佳代子

    鶴林寺でアート・プログラムを開催して5年目になりますが、

    来る度に 気付かなかった様々な発見があります。

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    これは鐘楼。

    この日は開錠され、階段を上って鐘を鳴らすことができます。

    そして、鐘の振動が境内に響きます。

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    人気スポットなのが、ふりきる門。

    過去を断ち切れる門。

    なるほど、納得の人気ぶり。

    我先に、振り切らねば。

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    そして、見つけたらハマる 池。

    大きな亀から赤ちゃん亀まで、亀を探してつい長居。

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    その他にも、バッタやカマキリ。鳩に猫。

    思いの外 いろんな動物が生息しています。

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    また、境内には休憩できるカフェもあります。

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    あ!こんなとこにも、平和と赤を見っけ。

  • 施美時間 11日目。

    施美時間 11日目。

    「施美時間」始まって以来の晴れ続き。

    鶴林寺でのアート・プログラムと言えば、これまで雨が通説となっていましたが、

    それを払拭する日々が続いています。

    特に、屋外の散策は心地良いです。

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    常行堂は、池田晶一。

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    「重なりもしくは 繋がり」

    整然と並ぶ姿は、屋根瓦などお堂の佇まいとリンクし、

    建築の一部としての作品の在り様を考えさせられる作品でもあります。

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    重なっているようにも繋がっているようにも見えるそれは、同じ形の独立した立体の組合せによって出来ています。面によって、艶のある赤とマットな藤色に分けられ、観る角度を変えることでフォルムが美しく変化します。池田さんの作品は、固い陶であるにも関わらず織物のような柔らかさとリズムを感じるのです。

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    また、池田さんの小品は旧宝物館にも展示されています。

    波型が特徴的な花器やカップは、繋げることで新たな立体作品のようにも変化します。

    次に、常行堂から見える赤は、栗山 勉。

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    「地平線を行く星牛」

    ”静かな内面と力強く未来に向かって進みゆくフォルムを創作した”という栗山さん。闘牛のように、足をカッカッ・・と動かし土を蹴りそうです。

    ”自分が熱くならないと作れない”という栗山さんは、自身が熱を帯びるまでの数時間をアトリエの掃除をして過ごすのだそうです。そして、やり始めると熱は一向に冷めなく制作を終えることができないと言います。

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    素材は色々なパーツ。

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    「変幻するメルヘン」

    太陽に向かってゆっくりと変化(へんげ)し進化していく様を表現しています。

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    キツネが女に化けているところなんですね。

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    これは血管という人もいました。

    確かに、血管のように見えます。

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    他にも野外作品では、入口から屈まないと入れない 奥に好奇心をそそられ、

    大角さんの作品を通る人の姿が多く見られました。

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    作品をくぐって奥まで行くと、

    作品の上に最初はなかったお金が置かれているではありませんか。

    お寺ならではの光景。

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    この日は、閉館ギリギリに作家が2名到着。

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    んん!?リンボーダンス?

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    アホですね~。ぴかぴか (新しい)

    誰も見てない中での、この のけぞり。

    さすが、アートの基本。作家魂を感じます。

  • 施美時間 9日目。

    施美時間 9日目。

    汗ばむほどの陽気。

    いざ宝物館へ。

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    宝物館に向かうアプローチ、池の横に静かに佇むのは阿曽藍人。

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    きっちりと敷き詰められた81枚の陶板。

    一枚一枚 景色の異なる陶は、雨にうたれると赤みを帯びて更に表情を変えます。

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    池にはカメやメダカが泳いでおり、

    野焼き色の赤茶と緑とのコントラストが美しく切り取られます。

    「赤い起源」

    はじまりのとき

    人類が手にした原初の赤は鉄分を多く含む赤土だった。

    縄文、弥生土器に見られる赤土の焼けた色に対峙するとき、

    遠い起源にふれたようななつかしさを感じる。

    鶴林寺の境内にあり

    地上から天に、天から地上に、日の光を受け、放つ。

    ときに雨にぬれ

    赤い地面は原初の様相を呈する。          阿曽藍人

     休日とあって、境内は遠方からの団体のお客様も多く見受けられました。

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    今日も境内では、画用紙と色鉛筆を広げ熱心にスケッチする子どもの姿がありました。

    阿曽さんの作品を左に、更に宝物館へ階段をあがると見えてくるのが澁田寿昭。

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    がまちゃん。

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    そう、カエルたち。

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    ここから先ほどの池が眼下に見えます。

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    フランスでの講演や展覧会も行っている澁田さん。

    やきもので作られた がまちゃんには、ひとつひとつ名前が付けられています。

    Ebony and Ivory.

    We all know that people are the same

    wherever you go

    There’s good and bad in everyone

    We learn to live,we learn to give each other

    What we need to survive

    Together alive

    また、音楽とのコラボライブで映像を担当していただいた吉田 真の万華鏡映像が旧宝物館でご覧いただけます。今日はちょっとした撮影スポットとなり、まるで観ている自分が作品の一部になったような影絵で楽しむ人の姿がとても素敵でした。

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  • 施美時間 8日目。

    施美時間 8日目。

    いよいよ「施美時間」も後半戦に突入。

    週末の今日は、加古川保育園の子どもたちの作品が賑やかでした。

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    背丈を遥かに超える大作、ぞうさん!

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    運動会では慣れっこ、何だって運びます。

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    前回も参加くださっている加古川保育園。

    0歳児~5才児全員が、赤いものをいっぱい作ってくれました。

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    あかずきんにおおかみ、兵隊にきのこ。

    ポストにかめ、お花にハート。

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    小鳥がポストに運ぶ手紙には、実際のお手紙が展示されています。

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    情報通の主婦にスーツのサラリーマン、美術家に教師。

    色々な方にご覧いただいています。

    他の保育園の子どもたちもやってきて「うわぁ~♪すご~い」

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    こちらが、加古川保育園の園章。通称、かこちゃん。

    巨大お祝いのし の裏に隠れています。

    この園章、実は電車になっていることにお気づきでしょうか。

    今回「施美時間」の中でも、加古川保育園の作品は芸術関係者から とても高い評価をいただきました。「先生方が展覧会の意味をよく分かっておられる」という言葉に集約されているような気がします。

    子どもたちに触発され、境内の作品以外の赤いモノを探してみることにしました。

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    ムキになって探してみると、赤は結構あるものです。

    ちなみに、青はほとんど見つけることができませんでした。

  • 施美時間 6日目。

    施美時間 6日目。

    日に日に空気がひんやりとして日差しが温かく感じるようになってきました。

    講堂から眺めるこの景色が日課となっています。

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    一色智登世のButs。

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    ここを行き交う人が、作品の一部になっては過ぎてゆきます。

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    地面からニョキニョキ出てきたようにも見える作品群は、どれもカラフルで、

    特にお寺という場所においては遠くからでも その姿を見つけることができます。

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    その中で、ひとり離れた君がいます。

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    彼から見る彼ら。

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    上から見る彼女 も悪くありません。

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    SEED-はじまりのカタチをコンセプトにイメージを展開しています。

    命のはじまりの種、物事のはじまりを表現する時にも使われる種、事柄現象、

    エネルギー、その、はじまりのカタチを種の形をもって表現してきました。

    本展では「赤」「命」「平和」というキーワードから2つのイメージが浮かびました。

    心の中に宿る平和への願い、Light-灯火―

    種からイメージが発展し、種が変化している様子、Growth-成長―

    2つのイメージから、種が成長し想いの宿った、But-芽―を表現しました。

    はじまりのかたちに想いが宿り平和のエネルギーになればと願っています。

                            一色智登世

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    今日は、パレットを広げ鶴林寺をスケッチする人を方々で見かけました。

    見たものを描きとめる、そんな日常が日々を豊かにするのかもしれません。

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  • 施美時間 4日目。

    施美時間 4日目。

    快晴の今日。

    特別に公開いただいている塔頭、浄心院へ向かいます。

    入るとすぐの廊下。

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    役重佳廣の陶。

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    布で巻かれた、痩せ細った表情のない子ども。

    果たして命さえも如何。

    あなたは、どう感じますか?

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    頭の上には短いロウソク。

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    更に奥に進むと、暗い部屋の中が見えます。

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    中央の椅子に近づくと・・

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    座面に張られた水が振動で波打ち始め・・

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    畳に映る水面までもが揺らいで見えます。

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    「繋がれた記憶」

    「世界はグローバルな時代」と唱える人が多いが、いまだに共通認識を持てないでいる。逆にその様な思考に反発する人間が世界中で増え、問題を抱えている。

    人類は長い時間をかけ、それぞれの環境に適した習慣・宗教・文化を創り出し、数多くの人種・民族が、さまざまな生活をおくる様になった。

    しかし”今”世界のいたる所で、一つの価値観で是非を決めようとしているように思える。

    私は、一つの方向性で理解することより、身近な習慣・文化を探り、それぞれが”永い血縁”の流れの中に存在すること、さまざまなローカルな価値観の繋がりで形造られていることを認識すべきだと思う。

    そうすることで初めて、多文化を尊重し理解することが出来るのだと思う。

    今回の展示は、古いイスを使用することで、自分の中に記憶された”繋がれた永い血縁”を意識し、偲ぶことで自分自身の成り立ちを見つめ直し、”数多くの存在”を考え、祈りの空間になれれば良いと思う。  役重佳廣

    更に横を向くと、乳児をかたどった作品。

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    一見、貫入にも見える表面。

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    実は、卵の殻で出来ています。

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    役重さんの祈りの空間を是非味わってください。

    最後は、本日のキューブ。

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    おやおや、少し見ぬうちにずいぶん形が変わりました。